都内で予約の取れないといわれる店の一つである、代々木上原にあるセララバアドに何とか予約して2016年11月に訪問しました。
セララバアドはコース一本にドリンクはペアリング4杯(アルコール4500円かノンアルコール4500円か)
※ノンアルコールの場合は単なるジュースではなく、ハーブや果物やスパイスなどを駆使した料理にあう創作ドリンクのペアリングになります。
今回は、セララバアド秋メニュー(7800円)です。
なんだかんだで行きたいと思ってから半年くらいかかりましたが、結果、行けてよかったという感想です。
これは写真や言葉で伝わらないエクスペリエンス(体験)の価値なので行った人にしかわからないですが、単にお皿の中の表現だけでも秀逸ですが、5感で楽しませてくれるのと、橋本シェフ自ら出迎えから見送り、調理から接客までをメインでこなされているのに頭が下がる思いでした。
セララバアドにいざ入店
開始は19時スタートとなりますが、18時40分には店についておくようにとの指示が予約の際にあります。
もうこの時期になると19時前にはすっかり真っ暗ですね。住宅街を歩いていくとぼんやりと明るい雰囲気の店らしきものが出現します。
このロケーションも繁華街にあるよりも気持ちが高揚しますね。
看板があり、店名とコース内容の案内があります。
ふらっと入っても予約がないと食べれないんですよね・・
外観には、木々があり、暗くて見えにくいですが赤や黄色の紅葉も季節感がたっぷり出ています(写真は暗くて見せませんね・・・)。外にはソファーがあり、ロウソクが置いてありました。
いよいよ店内が見えてきます。橋本劇場の開幕です、客なのになんだか少し緊張してきました。
橋本シェフに入店案内され店に入ります。
着席すると、テーブルには、何やら石のプレートの上に紙で作った葉っぱがあります。
秋らしく落ち葉ですね。これはなんでしょうか・・・
う、うん。Autumn menu 2016 とありますね。
まさかメニュー!?
糸で結ばれている一群を引っ張ってみると裏に文字が書いてありました。
メニューです!このメニューからして期待感満載ですね。
何だか、1枚一枚に単語があると、大学受験の時の英単語帳を思い出します。
『Heidi?』『藁??』『どんくり?』単語だけ見ていても何のメニューか想像つきません。
7時前には大体の予約の方が着席しており橋本シェフを中心に4人ほどのメンバーが、厨房がガチャガチャ動き出しました。
新規予約がキャンセル待ちになるくらいなので当然ですが、ほぼ常連の方ばかりのようで、みんな開演をじっと待っております。
セララバアド2016秋コース開始
厨房で、エルブジで開発された液体を泡状にする器具エスプーマが機動しだしました。
1皿目『スパークリング マスカット』
最初のメニューは、「食前にスパークリングでもいかが?」という感じで、
スパークリングワインとマスカットを使ったメニューです。
単にブドウかと思ったら、中に炭酸で泡状になったスパークリングが仕込んであり口の中に入れると炭酸感が半端ないです。
1皿目、2皿目にあわせたワインペアリングは、2015年蒼龍葡萄酒の「勝沼の甲州」辛口樽熟成 です。
甲州は日本産のワインの定番です。辛口で軽いメニューに合わせてきます。
ノンアルのほうは、松の実とジュニパーベリーのドリンクです。
2皿目『森の朝』
次は、何やらコケのようなものが、石にコケに盆栽か(笑)
アボカドとピスタチオを液体窒素で凍らせたものだそうです。
シェフ各テーブルに、透明のポットを持ってお皿にふわっと振りかけていきます。
森の朝霧をイメージしたということで香りをかいでみるとヒノキのような良い香りがあります。
溶けないうちにすぐ食べてくださいとのことで、さっと写真撮って口に運びます。
3皿目『落葉の森』
箱の中に秋がギュッと入ってますね。
透明な箱の上に豚がいます。
豚がトリュフを探すというモチーフだそうです。かわいらしいですね。
豚はお菓子のおっとっとのような感じで中が空洞で焼き上げておりますが、
油断して半分かじったら、中にオリーブオイルが入っておりどばーっと手に垂れてきました。
豚が見つけた『黒トリュフ』のほうは、中に、具として豚の豚足、耳、しっぽなどが入っているコロッケだそうです。
野性味のあるワイルドな風味でした。
ブドウの形をしたムースは、フォアグラの香りがいっぱいに広がる味でした。
4皿目『Heidi』
なんて読むの?まさか・・・アルプスの少女で名高い(笑)『ハイジ』ではと思ったら、やはりそうでした。
ハイジの食卓をイメージしたそうです。
長野県松本市の清水牧場の『山のチーズ』を使用したそうですが、作っているはなからかなりの発酵料理特有の香りがしてきます。
店内に香りが充満するのは、オープンキッチンならではですね。
パンの上にとかしたチーズが乗っている皿ともう一皿はキノコスープです。
キノコのソテーと上にナッツのスライスが乗っています。
このきのこの『汁』がめっちゃ滋味深くて美味しかったです。口の中に様々なキノコがギュッと広がる感じです。
これぞ秋の味覚ですね。
ペアリングでチーズに合うワイン・・・ではなくて日本酒です。
秋田の新政酒造の貴醸酒『陽乃鳥』です。
濃厚な甘口の日本酒で確かにこのチーズの癖を包み込みマリアージュします。
ノンアルは梨とバジルのドリンク。
5皿目『才巻海老 大麦』
海老の出汁がしっかり聞いていて麦と米も程よく硬く触感も楽しめました。
海老の出汁で炊いた大麦と米のリゾットとと緑のソースはニンニクとパセリアーモンドで作ったそうです。
5皿目『丹波黒鶏 ほおづき 藁』
この藁が謎でしたが、解明できました。
何やら厨房がもわもわしていて煙くさいなと思ったら、燻製をしているんですね。
丹波黒鶏を燻製ローストにしてあり、燻香を楽しんでもらおうと燻製の煙を透明で中央が凹んでいる特別な更に封じ込め上に透明フィルムで蓋をしてあります。
ほおづきをずらすと穴が開いており、そこから煙を引き出せるという趣向です。↓穴をずらしてみました。開けた瞬間にぼわっと煙が顔に吹きかかります。
よく考えられていますね感心感心。
薄い色の葉っぱの形をしたものは、紅イモとサツマイモから作ったチップだそうで、確かにおさつスナックの味がしましたよ。
食べ終えて、これも食べられますよとスタッフに指摘され、『葉っぱのチップ』を指されたと思い内心しっているよと思いつつ、よく聞いてみると、
枝のことでした。
この枝は、シュー生地とスパイスで作っていますとのこと。
なに~、枝まで食べられるのかw
ペアリング3杯目は、2013年丹波鳥居野産『ピノノワール』製造は、丹波ワイン
日本のピノらしく軽やかで飲みやすいワインです。
同じ京都産の黒鶏にあわせているんですね。
ノンアルは、ニンジンとパッションフルーツのドリンク。
5皿食べ終えて、
最初は一皿のポーションが少ないので、量足りるかなと思っておりましたが、
時間をかけて料理が来るのと頭を回転させながら5感フル回転で食べるので色々いっぱいいっぱいになってきました。
ペアリングのお酒も徐々に効いてきて良い感じになってきます。
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セララバアド2016秋メニュー後半
6皿目『豚』
豚ってなんだよ。豚肉料理というのはわかるけど、と考えていると皿が運ばれてきました。
豚肉のソテー。この料理は他のメニューと比べて普通ですね。とはいえ、盛り付けが面白いさらの端だけつかっています。
豚は、静岡の『セレ豚』だそうです。なんて高貴な名前なんでしょうか(笑)。
付け合わせは、玉ねぎとマコモダケ、ジャガイモをマッシュしたものの上に鎮座しています。
ペアリングは、2014年のマスカットベリーAです。生産者は渡邊葡萄園。知らないなと思ったら栃木の那須塩原の生産者だそうです。
ノンアルのほうは、柿とミントティのドリンク。
メインの後はデザート2皿です。
7皿目『栗 チョコレート どんくり』
どんぐりが想像できませんでした。どんぐり、食べるの?
料理が運ばれてきましたが、表面が茶色のもので覆われています??
説明を受けると栗のシートをパリッと焼き上げたそうで、スプーンで割ってみると中にどんぐりのアイスとチョコムースが入っていました、
さて、チョコレートの濃厚なムースを食べながらどんぐりアイスを食してみると、いまいちどんぐりっぽさは感じずバニラアイスな感じでした。
ラスト8皿目は、『トリュフ ライチ ジャスミン オリーブオイル』
クッキーが入っているようなブリキの箱が出てきました。
中を開けると、スイーツが4種類
トリュフ風味のお菓子はトリュフの香りがぶわっと広がります。
オリーブオイルで作ったグミ
ジャスミンティーとライチ風味のマカロン
途中で自家製のパンが出てきますが、これができたてほやほやでめちゃ美味です。
スノーピークののコロダッチポットで焼いたもの天然酵母を使用している自家製だそうです
手が止まらず、1切れ残してすぐに食べてしまいました。周りのテーブルも食べるの早かったです。
後で1切れ食べましたが、出来立てのあったかいうちに食べたほうがおいしかったです。
ちなみにどうでもいいですが、写真は、トイレにあった木製パネルです。
来た方が次の予約をし続けているので新規の方が予約できないという循環になっているのも理解できます。
既に冬コースは予約が埋まっているそうで、次は春コースの予約が始まったところみたいです。
つまり常連でも予約できるのが4か月先だそうです。
次に秋冬コースを食べれるのはすでに1年後ということですね(汗)
19時から21時半過ぎくらいまで実際2時間半があっという間でした。
液体窒素で凍らせたり、燻製の煙だったりと写真を撮る時間も躊躇するくらいのものですから、
とにかくこの料理を仕込みから準備して4人のスタッフで同時に提供していくのは大変でしょうから
16席以上は対応しづらいのでしょうね。
単なるサプライズは2度目3度目は飽きられてしまいます。
ノーマに似た温かみのある雰囲気のセララバアドには、奇をてらった料理を提供するということではなく、食材のチョイスや季節感や自然の表現を通じたメッセージと自ら直接接客と料理説明をする橋本シェフの哲学に本質的価値を感じました。次回の訪問はどの季節になるやら。再訪を楽しみにしたいと思います。
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