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映画『帰ってきたヒトラー』の感想(もろネタバレ注意)

私の周りのちょっとした話題作ということで、劇場で見ておきたいと思いやっているところを探して見てきました。

結論としては、コメディ映画という建前で描かれてますが、現代社会の問題点とヒトラーを出現させた時代背景を映しているように見えました。

帰ってきたヒトラーはお笑い芸人か道化か

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最初から所々笑える描写もありますが、映画の中でヒトラーと対峙した人々と同じでスクリーンを見ている我々も笑っているとはっとして真剣に引き込まれることが何度もあります。

軍服姿にトレードマークの髪型とちょび髭、しぐさや言葉遣いまで似ている姿に良くいる『総統』の物まね芸人として見られており、対面した人々はスマホで撮影したり、似たしぐさをいちいち笑ったりします。

ヒトラーは高いIQを持つ天才だったといわれてます。
また、オカルトに傾倒し、インスピレーションで自らの暗殺計画を予見したり、研究者に最新鋭のロケットミサイルの構想を指示したりしたという話もあります。
最後のラジオ演説ではオカルトめいたコメントも連発していたようです。

そうしたヒトラーだからこそ、現代にタイムスリップしてもすぐ適応してしまったのでしょう。
普通の人が数十年先に来れば驚きの連発があるはずですから。
そして、人々に笑われたり変人扱いされてもそれを気にせず逆に深く相手にメッセージを伝えるチャンスとして自らの置かれる状況を客観的に見れる所も天才の証ですね。

ヒトラーにテレビプロデューサーとしての復帰のチャンスを得たい男が一緒に各地を回りながら
人々とヒトラーを交流させていく。その中でヒトラーは科学文明は進化しているが、人間は何も変わってなく、そして社会情勢も自らが受け入れられるために良い環境だと認識します。

ヒトラーは、導かれるようにしてテレビのゴールデンタイム生放送で全国にデビューするチャンスを得る。

テレビの最初の演説シーン。今や有名となったヒトラーの演説前に聴衆の意識を向けさせる長い沈黙で間を開ける動きは、今の時代になっても健在です。

悪いのはヒトラーだけでなく選んだ国民でもある

 

特にヒトラーの発したセリフで自分を選んだのは国民で、人々が同じ問題意識を持っていたからこそそれを解決してくれるリーダーを選んだという所が響きました。

移民問題や経済格差、若者の将来に対する不安など解決策の出ない状況において利害関係にがんじがらめになり事なかれ主義に始終してしまう政治家と政治不信になり国際問題などより明日と将来の自分の生活に安心したい国民たち。

真正面から責任をれるリーダー、全て私が解決すると言われればアンチな人間でも耳を傾けざるをえませんね。
そして、「ドイツの為に」、「国民の為に」と全て正論で答えられればオピニオンリーダー達も歓迎せざるを得ない。ましてや一般大衆の不満を代弁し、解決策を提示してくれるとなれば、受け入れられることが必定です。

実際、インターネット社会やユーチューブ、テレビを通じてヒトラーの代名詞といえる天才的な演説でメッセージを発していくことで一気にメディアを通じて世間を掌握してしまった。

戦後70年、ヒトラーとナチスを否定して成り立っている国家において、タブーとされているヒトラーに向き合いそれをもって伝えたいメッセージは何だったのか考えてしまう。

豊かさを知ってしまい、何でも手に入りモノがあふれるのが当たりまえの生活に慣れている中、コモデティ化と移民による労働国際化で労働対価の減少に直面する一般の人々大企業は優遇され、税負担は増える一方の現代は、ヒトラーが出現した第一次大戦後の戦後賠償に追われ困窮していたドイツ国家における国民の閉塞感と全く同じかそれよりもひどい状態かもしれない。

先進国の右傾化が進む中、庶民の声に耳を傾け愛国心と経済発展の夢を示してくれるヒトラーのようなリーダーを庶民は渇望しているのかもしれない。最近の日本における田中角栄本の流行もその流れの一つかもしれない。


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帰ってきたヒトラーを見た人はどう行動するのか

ending

映画の最後は、本物のヒトラーだと気付いたヒトラーを見出したテレビのプロデューサーがヒトラーを排除しようとして反対に捕まって精神病者として隔離されている中、ヒトラーは親衛隊を組織し、現代のゲッペルスとして有能なテレビ局の女局長を右腕にしてマスコミを通じてメッセージを発していく中で終わりを迎える。
賛否両論ありつつも徐々に否定しようがない正論のメッセージが庶民に受け入れられていく変化が感じ取れる。

ヒトラーによって家族を失った認知症のユダヤ人の老女が唯一ヒトラーを本物だと見抜き怒り狂う姿でこの人物が英雄ではなく、稀代の悪人だということをはっきりと思い出させる。

ヒトラーを中心に描いた映画ですが、ヒトラーと向き合う大衆のリアクション、言動こそこの映画の見るべきポイントと思います。エンドロールでオープンカーに乗るヒトラーに対する人々の姿がことさらに受け入れられていくヒトラーの姿、戦後の歴史教育でヒトラーを否定してきたはずのドイツという国が実は一番ヒトラーを求めていたという示唆がある気がしました。
そう、ヒトラーは戻ってきたのではない、ずっとそばにいたのだと作中で語るように。

人は自ら痛い思いをしないと分からない、また痛い思いをしても時間の経過とともに記憶が薄らぐ。歴史は繰り返すといいますが、似た状況で同じ選択肢があれば、同じ選択=誤った選択をしてしまうのが、人間だとこの映画は語っている気がします。

この映画がヒットした後、ドイツという国はどうなるのか。
ドイツが実質のリーダーとして牽引するEUはどうなるのか。
そして、同じように閉塞感が覆う世界全体がどうなるのか。

映画を見た後の人々は、変わらない現状への不満だけが残り、ヒトラーに対する盲目的な拒絶心というのが薄らぐのではないでしょうか。

ドイツのメルケル首相の任期が来年までとなります。隣のフランスのオランド大統領も来年が任期。今年のアメリカ大統領選挙に続き各国首脳も各国の国民に選択機会が与えられます。

我が国も最近話題の天皇の定年制をはじめとして憲法9条も含んだ憲法改正や緊急事態条項など
自分自身と子供たちにとって、政治に対する正しい選択は真剣に選んでいきたいですね。

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